睡眠に満たされない社会で――「不足・不満・不安」と向き合うとき

音と睡眠

「快適睡眠フェア2025」

春の名残雪がちらつく中、雷鳴と共に朝を迎えた日。
江戸川区で開催された「快適睡眠フェア」に行ってきました。
荒天にもかかわらず多くの来場者が集い、各ブースには熱心に話を聞く姿が見られました。
天候をものともしないその姿に、私たちは一つの確信を得ました。
「人は、今、眠れていないのだ」と。

多くのテレビ番組などでも取り上げられたように、「睡眠に対する不足・不満・不安」は、現代人の抱える深刻なテーマとなっています。
単なる個人的な悩みではなく、これはすでに “社会的課題”と呼ぶべき段階にあるのではないでしょうか。

「睡眠は健康の三本柱のひとつ」

「睡眠は健康の三本柱のひとつ」とされてきました。
運動・食事と並び、私たちの心身の基盤を支えるものです。
しかし、運動や食事が日中の意識下にあるのに対し、睡眠は夜間、無意識下に起こる行為。
だからこそ、うまくいかない原因を自覚しにくく、対処が遅れやすいのです。

不規則な生活、夜遅くまでの仕事やスマートフォンの使用、家庭内のストレス、気象変動や社会情勢の不安。
こうした外的・内的要因が複雑に絡み合い、「眠れない」「すぐ目が覚める」「朝すっきり起きられない」などの声は年々増加しています。

睡眠の質を改善するために必要なのは、医学的アプローチだけではありません。
もっと感覚的で、もっと環境的で、もっと人間的な「つながり」が必要だと。
なぜなら、眠りとは安心の中に身を預ける行為であり、環境との調和の中でのみ深まるものだからです。

「音は空間の質を決める」

たとえば、私たちが研究・提案している「音」はその一例です。
音は空間の質を決め、空間の質は眠りの深さを決定づけます。
雷鳴が轟く朝にも、多くの方が「快眠」を求めて足を運んだのは、きっと「心が安らげる音」「不安をやわらげる空気」「自分の感覚に合った眠り方」を探していたからでしょう。

今、私たちに必要なのは、「眠れていない人が悪い」のではなく、「眠れない環境が蔓延している」という視点の転換です。
睡眠に関する情報は溢れていても、信頼できる実感や実践の場はまだ足りていません。

だからこそ、私たちは、これからも「音」「感覚」「環境」に寄り添った提案を行っていきたいと考えています。
眠りの中で、誰もが自分を取り戻せるように。眠りの質が変われば、生き方そのものが変わることを、私たちは確信しています。

静かな眠りの大切さを改めて感じた一日でした。
睡眠は贅沢ではありません。
人が人らしくあるための、もっともやさしく、もっとも深い営みなのです。

この記事を書いたひと

有限会社エムズシステム 代表取締役 三浦 光仁

「音と睡眠」に関する第一人者。
音の不思議さ、音楽の凄さに身も心もやられ、人生の半生を捧げる。
あるエネルギーの振動(周波数帯域)により、人体が受け止める感覚センサーが異なると知り、驚愕。波長、周波数、共鳴、共振、という科学に足を踏み入れ、量子論的な世界を毎日楽しく生きる、有限会社エムズシステムの代表取締役、三浦光仁(みうらてるひと)。