皮膚はもうひとつの聴覚だった?

音と睡眠

音と振動を感じる“第三の耳”の役割

私たちが「音を聴く」とき、その主役は耳だと思われがちです。
しかし、音は空気の振動であり、振動を感知できる感覚器官は耳だけではありません。
実は私たちの”皮膚”も、音の振動をとらえ、脳に伝えているということをご存じでしょうか。

皮膚は、触覚・圧覚・温覚・冷覚・痛覚といった多様な感覚を感知する、いわば多機能センサーです。
全身を覆うこのセンサーは、環境の変化や刺激を瞬時にとらえ、私たちの生存と安全を守っています。

包み込まれる音、それは皮膚が聞いている音

その広範な分布と感度ゆえに、皮膚は「巨大な聴覚センサー」とも呼べるのです。
たとえば低周波の重低音や音圧のあるサウンドを聴くとき、耳だけでなく体全体でその“音”を感じた経験はないでしょうか?
それは単に音が大きいからではなく、音の振動が皮膚や筋肉、骨を通して伝わり、触覚レベルでも感知されているからです。

実際、近年の研究では「音の感じ方に皮膚からの振動刺激が影響を与える」ことが実験的に確認されています。
特に静かな環境や睡眠前の繊細な時間帯においては、微細な振動でさえ体感として受け止められ、音の印象や安心感に大きな影響を与えるのです。

皮膚を通じて受け取る“音の感触”

これは睡眠にとって非常に重要な示唆を含んでいます。
耳からの刺激だけでなく、皮膚を通じて受け取る“音の感触”もまた、安眠や覚醒に影響を及ぼしている可能性があるのです。
つまり、快適な睡眠環境を整えるには、単に音を「聴こえないようにする」のではなく、音の振動がやさしく体を包み込むこと、刺激の少ない自然音や倍音豊かな音に身をゆだねることが、聴覚と“皮膚感覚としての聴覚”の両方をやすらげる鍵になるのです。

皮膚は音に反応するもうひとつの耳。

音と睡眠の関係を考えるとき、これまで見過ごされてきたこの感覚の存在に、私たちはいま、あらためて耳を傾ける必要があるのかもしれません。

この記事を書いたひと

有限会社エムズシステム 代表取締役 三浦 光仁

「音と睡眠」に関する第一人者。
音の不思議さ、音楽の凄さに身も心もやられ、人生の半生を捧げる。
あるエネルギーの振動(周波数帯域)により、人体が受け止める感覚センサーが異なると知り、驚愕。波長、周波数、共鳴、共振、という科学に足を踏み入れ、量子論的な世界を毎日楽しく生きる、有限会社エムズシステムの代表取締役、三浦光仁(みうらてるひと)。