「LISTEN」を視聴(?)して

音と睡眠

音楽と心のリフレッシュ

600頁を超える分厚い本ですが、世界は音で出来ていることが実感できます。
そこに生き、住んでいる人間は音を奏で、音楽を友として、響き合っています。
山口智子さんの『LISTEN』は、音楽が人々の生活にどのように溶け込んでいるかを世界中で取材した10年間の旅を綴った一冊です。
音楽は、文化や国境を越えた普遍的な癒しの手段であり、彼女が出会った多くの人々にとって日々の心の支えでした。
この本では、ある人が日常的に自然音を取り入れて瞑想に用いたり、また別の人は特定の楽器を通じて心を解放したりする様子が描かれています。
私たちも音楽を使うことで、心のリフレッシュを手軽に実践できます。
たとえば、穏やかなピアノのメロディや自然の音が混じったアンビエントミュージックを聴くと、脳波が落ち着き、ストレスホルモンの分泌が抑えられると言われています。
眠る前の15分間、心地よい音楽に耳を傾けることで、心の静けさが訪れるかもしれません。

民族音楽が持つ力

本書では、日常の何気ない音から民族音楽まで、音が持つ豊かな表現力とその可能性について語られています。
音は単なる物理的な波としてだけでなく、私たちの感情や意識に働きかけ、心の癒しや成長に寄与する重要な存在であると。
特に興味深いのが、民族音楽が持つ力についての言及です。
民族音楽は、その土地や文化の精神性や価値観を音楽という形で表現するものです。
こうした音楽は、単なる娯楽としての音楽を超え、聴く人々に深い共感や懐かしさを呼び覚まし、心をリラックスさせる力があります。
また、民族音楽は特定のリズムやメロディーが人間の体に与える影響が大きいとされています。
例えば、一定のテンポで繰り返されるリズムや、自然の音を模倣した楽器の音色は、私たちの自律神経に働きかけ、リラクゼーション効果をもたらします。
山口さんもその効果について触れ、こうした音楽が現代のストレス社会において、心と体を整えるツールとして再評価されるべきであると述べています。

心身をリラックス状態に導く

民族音楽に限らず、自然音や心地よいリズムは、心と体を整えるツール注目されています。
たとえば、鳥のさえずりや川のせせらぎ、風の音などの自然音は、副交感神経を活性化させ、自律神経を整えることで、心身をリラックス状態に導きます。
これにより、眠りにつきやすく、深い休息が得られるのです。
また民族音楽に含まれる自然音に近い要素や、繰り返しのリズムは、脳波をアルファ波やシータ波に誘導し、リラクゼーション効果をさらに高めます。

山口さんは音楽や音を「聞く」という行為に意識を向ける「リスニング」の重要性を提案しています。
忙しい日常では、私たちは無意識のうちに多くの音を聞き流していますが、意識的に音を取り入れることで、その癒しや活力をより深く体感できると述べています。

彼女はあとがきで
「生きのびるための深遠なる神秘に、耳を傾けたいと思います」
と言っています。
「生き抜く」から、自分をとりまく環境や他者からの、密やかな守護の力が潜んでいることに気づき、「生きのびる」ことへと。

彼女はこう結んでいます。

人類の運命も、地球の行方も、嘘のない「音」の導きにかかっている気がしてなりません。

この記事を書いたひと

有限会社エムズシステム 代表取締役 三浦 光仁

「音と睡眠」に関する第一人者。
音の不思議さ、音楽の凄さに身も心もやられ、人生の半生を捧げる。
あるエネルギーの振動(周波数帯域)により、人体が受け止める感覚センサーが異なると知り、驚愕。波長、周波数、共鳴、共振、という科学に足を踏み入れ、量子論的な世界を毎日楽しく生きる、有限会社エムズシステムの代表取締役、三浦光仁(みうらてるひと)。